2014年に社長業を引き継ぎ、社内改革を始める

株式会社ユニペンは1976年に、私の父が創業した会社です。塗料や塗装工具機器の販売業と住宅などの塗装工事がメインの事業です。 私が株式会社ユニペンに入社したのは1999年で、社長を引き継いだのが2014年。もともと父が起こした会社ですから、当時は絵に描いたような中小・零細企業で、社内規定もあってないようなもの。オーナー社長にありがちなトップダウンでものごとが決まっていくという会社でした。そのことを社員としての視点で、あまりよくないと感じていたのは確かです。そこで、社長になって最初にやったのが社内規定の改革でした。専属の社労士と契約し、社内規定を整備していきました。特に有給休暇の取得率が低く、休暇取得を言い出しにくい雰囲気があることも問題だと考えていました。経営者からすれば従業員に休んでほしくはないでしょうけど、従業員にとってみれば当然の権利です。だからこそ、まずそこから手をつけようとしました。先代とは何度もぶつかりましたね。「そんなに休んで業績が下がったらどうするんだ！」と言われたので「まずは1年間、やらせてください」と。それで「売上、利益が下がったら元に戻す！」とたんかを切って改革を始めました。その1年間は、従業員が全員頑張ってくれて、売上、利益ともに向上しました。その経験によって、社内改革の道筋が見えてきましたね。

「健康経営優良法人」に認定され、健康経営の重要さを認識

社内改革を進める中で、転機となったのが2019年に「健康経営優良法人」に認定されたことですね。この表彰制度は市原商工会議所から教えてもらったのですが、「絶対取れるから挑戦してください！」と背中を押されたことを覚えています。ちょうど同時期に、社内でインフルエンザが流行ったことがあり、同時に3～4名が欠席という事態になり、業務が滞ったことがあったんです。「これではマズい」と思い、まずやったことが「手洗い・うがい」の徹底、そしてその見える化です。外から帰ってきたらまず洗面所！ というルールを決め、洗面所に「手洗い・うがい点検表」を設置しました。社員のほうにも危機感があったのでしょうが、この取組はスムーズに浸透して、手洗い・うがいが習慣化されました。結果、それ以来、社内でインフルエンザの感染は起きていませんし、もちろん新型コロナウィルスの感染者も出ていません。さらに、予想外の変化として、「手洗い・うがい」をきっかけにして、お互いが声をかけるようになり、社内のコミュニケーションが増えたという副産物もありました。会社というのは従業員が健康に仕事をすることで成長するものですから、今後も健康を軸に経営を続けたいと考えています。

市原市産業支援センターと連携した、ビジネスマッチングを望みます

「市原で大切にしたい会社」表彰では特別賞を受賞いたしました。表彰式には部課長にも出席してもらったのですが、非常に喜んでいましたね。1人ではなし得ない、従業員全員の協力があって受賞できたわけですから、みんな感慨深いだろうと思います。 このような取組みをはじめ、市原商工会議所も市原市産業支援センターも、地域に根ざしたさまざまな活動を行っています。私自身、青年部を経て、現在は「経済人交流会」という活動を行っています。そういった活動の中で、職員と話をする機会があり、「健康経営優良法人」も「市原で大切にしたい会社」表彰も知ったという経緯があります。今後は、今以上に市原市を活性化するためにも、ビジネスのマッチングを念頭においた活動を期待しています。市原市には臨海地域に大資本の工場があり、市内にはさまざまな中小・零細企業があります。それらを結びつけることで新たな価値が生み出され、市原市の活性化につながるのではないでしょうか。私が参加している「経済人交流会」でも、そのような形でお互いがウィン・ウィンになるマッチングを心がけていますので、ぜひ今後も連携しながら活動を続けていきたいと考えています。