社員と取引先への活動が認められました
一宮運輸株式会社は愛媛県新居浜市に本社を置く物流会社です。もともと取引があった現在の住友化学株式会社が、千葉に工場を建設するのに合わせ、1969年に市原市に支店をつくりました。事業内容は、国内輸送業を中心に、構内一般作業や特殊医薬品の輸送、引越し業、倉庫業、ボトルドウォーターの製造・販売・配送、産業廃棄物の収集・運搬などを行っています。
物流業という性格上、全国に支社がありますが、創業者の教えとして「それぞれの地域に合わせた仕事をする」という方針があります。それが一宮運輸株式会社の根幹と言ってもいいと思います。
とはいえ関東支社を設立した当時は、地域とのつながりも薄く、地元である愛媛から人を呼んでいた状況でした。それでも少しずつ地域とのつながりができ、ある時に姉崎地域で納涼祭をやろうという話が出ました。そこで敷地にやぐらを組み、地域の人たちを大勢招き盆踊りを行ったんです。それがきっかけになって、少しずつ地域に受け入れられていきました。
今回「市原で大切にしたい会社表彰」の特別賞を受賞し、大変ありがたく思っています。一宮運輸株式会社全体で取組んできた社員と取引先への活動が認められた結果だと考えています。
会社を挙げて姉崎のお祭りに参加しています
一宮運輸株式会社には会社独自の労働者団体である「親幸会」と取引先様を集めた「一新会」という組織があります。「親幸会」は1985年に発足し、「人と人とのつながり」「会社への発信力」というテーマで活動しています。労働条件や職場環境の改善だけではなく、社員同士の親睦や福利厚生の増進や人材教育研修などを行い、労働者団体だからこそできる活動を行っています。その他にも従業員同士の交流を目指し、春は花見、夏は暑気払いなど、季節ごとにイベントを行っています。「一新会」は、地域の協力会社やメーカーなど関係各社が集まっている団体で、現在190社ほどに参加していただいています。年に2回、総会や研修会などを行い、全員が切磋琢磨して同じ方向を向いて仕事ができる環境づくりを目指しています。
こういった取組みを長年やってきたこともあり、非常に人同士の距離が近いことが弊社の社風となっています。関東支社での「人とのつながり」「地域密着性」といったふたつのテーマから生まれたのが、姉埼神社のお祭りへの参加です。最近、神輿の担ぎ手が少なくなっていて地域の人が困っていることを知りました。そこで弊社の社員が参加することにしました。神輿を担ぐ経験は、最近ではなかなかできませんし、今では新入社員を含めて50名以上が参加しています。実はそのために半纏も作り、今では弊社の大切な行事として根づいています。
育ててくれた市原市に恩返しをしていきたい
また、物流業なので安全面とコンプライアンスへの取組みは徹底しています。役員以下、一人ひとりの「運転記録証明書」をもとに面談を行います。同時に無事故・無違反の表彰制度を設け、10年表彰や20年表彰なども行っています。地域に受け入れられるためには地域の人に指をさされない行動をする必要があります。1人でもコンプライアンス違反をしたら、大きなダメージを負うわけですから。事故や違反をしたら外部の自動車教習所に研修に行ってもらいますし、戻ってきてからも弊社独自の研修を行います。こういった取組みを根気強く続けることが大切だと考えています。
今後、より力を入れたいのが地元の人材の採用です。数年前から学校回りを強化し、少しずつパイプができてきました。創業者も「企業の成長は人がいなかったらあり得ない」と言っており、弊社にとって人材は宝なのです。その人材をもっと地域密着で採用したいと考えています。
最後に、2021年に社員寮が完成しました。従来の寮のイメージを覆し、プライバシーを尊重した、ワンルームマンションのようなつくりになっています。従業員の目線に合わせ、従業員の意見を聞き入れながらつくりました。従業員がより長く働ける環境を構築し、弊社を成長させてくれた市原市に少しでも恩返しができれば、と考えています。